構造的変化とは
企業の販売実績が、外部環境の変化の影響を受けて変化することをいいます。
この変化を引き起こす要因としてよく上げられるものには、
政府による、ビジネス関連の規制
市場の流行や顧客のし好の変化
新技術・新製品の発表による買い控え
などがあり、いずれもビジネスの成否に大きな影響を及ぼすものです。
構造的変化で問題になるのは、これが原因となる「下降現象」がみられる場合です。
というのは、構造的変化は一度下降現象が始まると、そのままでは元に戻らない性質があるからです。
また、上述の「要因」を見てもわかるとおり、営業担当者1個人での解決は難しく、組織的・抜本的な解決が必要となる問題なのです。
したがって構造的変化への対応は、経営幹部や関係部署の指導・協力が必要なテーマであり、これが円滑に処理されるためには、「変化の早い発見」と「原因の精査」、そして構造的変化とみなされる場合の「上司への速やかな報告」が重要です。
これは営業マネージャの大きなミッションでもあるのです。
構造的変化の点検
マネージャは、重点顧客や重点商品の移動年計グラフを定期的に点検して、実績の「継続的な下降現象」が起きていないかを調べます。
図は顧客別移動年計実績グラフですが、例えば「稲見工機」のような、継続的な下降現象が現れている顧客を発見したときは、その理由を調べて、当社と顧客間の取引が構造的な要因による影響を受けていないかを確認する必要があります。
そして原因が分かったら、解決はチームでできるのか、企画・販促部門や仕入部門・仕入先の応援を受けるべきか、会社のトップレベルでの話し合いが必要なのかを判断して対処します。
変化が構造的要因によるものと判断される場合
この場合は、「構造的変化と判断した理由」とともに、まず上司に報告して指示を仰ぎます。
チームで解決を図る場合
このときの基本は「守りの戦略」です。顧客への報・連・相を徹底し、まずはこれ以上売上を落とさないこと。並行して、反転攻勢の準備を進めます。この時はライバル社に察知されて、つぶされないように注意することは言うまでもありません。
素朴な疑問
構造的要因による実績変化は「それによる上昇」もあるのではないか。なぜ「実績の下降」ばかりが話題になるのか。
ごもっともです。
でも、例えば当社がその恩恵を受けて上昇を続けたとしましょう。これは喜ばしいことですが、この時は、間もなく必ずライバル社(あるいは商品)が現れ、競争が始まるのです。その結果、「構造的」という要素は次第に薄れていくでしょう。
それに対して構造的要因による下降の場合は、当社が何もしない限りはこの変化が継続し、ライバルは冷たく静観するでしょう。ですから対策には「撤退」も含む、かなり抜本的・組織的な対応が必要になります。
したがって構造的要因による下降は、兆候を早く発見してその理由を精査するとともに、速やかに上に報告することが大事なのです。