顧客ごとの現状分析や拡販策立案の会議では、参加者全員が顧客の実績動向を的確に把握することによって、活発な討論が実現します。
その時に使用する資料として、販売状況を直感的にとらえることができる次のグラフや集計表を紹介します。
顧客別分析のための4つの資料
担当者別顧客別差額管理表 | 計画達成状況の確認 |
顧客別販売実績売上マップ | 全体の実績に対する顧客ごとの貢献度を知る |
顧客別販売実績年計グラフ | 顧客ごとの実績の中期的な推移と構造的変化を点検する |
顧客別販売実績売上マップ軌跡 | 顧客ごとに、今年と前年の販売動向を詳細に比較する |
これらの資料は、顧客ごとの合計実績の推移と変化を顧客間で比較できることが特長で、顧客の重点化や、構造的な変化を起こしている顧客の抽出にも活用できるものです。
なお、顧客ごとの販売内容の分析は、「商品分析は7つのグラフと2つの集計表で定型化しよう」を参照してください。
4つの定型資料の活用例
ここでは、グラフや実績表の具体的な活用法を紹介していきましょう。
どんな時に顧客の販売実績をみるのか
私たちが顧客別実績を見ようとするのは次のケースでしょう。
- 目標と実績の比較
実績が目標値に達しているか、どのくらい不足しているか
- 苦戦している顧客の点検
担当している顧客で、苦戦している顧客はどれか
苦戦している顧客は、これまでの推移はどのようで、今後の見込みはどうか
- 拡販ターゲット顧客の選定
実績が伸びている顧客の抽出
その顧客の今後の可能性
- 伸びている顧客の事例を他に応用できないか
詳細な販売内容の分析が必要
- 担当顧客の重点化を図る
現状の推移の分析と今後の予測
欲しい情報はどのようにして得られるか 前述のケースごとに、参照すべき実績資料は次のようになります。
ケース①
計画達成度の確認は、もちろん「担当者別顧客別差額管理表」です。
ケース②
苦戦している顧客の点検は、差額管理表の差額欄や年計グラフの推移をみることで行います。
また、年計グラフを見るときには、構造的変化の兆候がないかを併せて点検するようにします。
苦戦している顧客が見つかった場合は、苦戦の度合いを見るために、あるいは今後の動向を予測するために、売上マップの軌跡で2年間の動向を比較する場合もあります。
ケース③
拡販ターゲット顧客の選定にあたっては、実績が順調な顧客をより伸ばそうとする方が、効果が見込まれるでしょう。したがって、売上マップの上位に位置する顧客や、年計グラフが右肩上がりの顧客を選ぶのが普通です。
そしてそれらの顧客の中から、さらに売上マップの軌跡を見て、売上・利益の動向を前年と比較・点検した上で最終的なターゲットを選定します。
ケース④
このケースでは、伸びている顧客の販売内容を調べないと、他に応用できるヒントはつかめません。「商品分析は7つのグラフと2つの集計表で定型化しよう」を参照してください。
ケース⑤
重点顧客の設定にあたっては、担当者別顧客別差額管理表の上位顧客から順に候補を選定していきますが、年計グラフを点検して構造的変化の兆候がある顧客は除外します。その顧客には、別な対応が必要な場合があるからです。
そうでない顧客については、売上マップの軌跡による2年間の実績比較をした上で、重点顧客に設定するかどうかを判断します。