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推移をみるならZチャート

Zチャートとは

「業績が上がっているのか、下がっているのか」を一目で見せてくれるグラフです。
月々の業績は「季節変動」の要素を含みますが、Zチャートを見れば、それを加味した上昇/下降の傾向が分かります。

多くの商品は、季節によって販売状況が変化する、いわゆる「季節変動」があります。
そして商品に季節変動がある以上、その商品を継続して購入している顧客への販売状況にも季節変動があります。
Zチャートはこの季節変動に惑わされずに、販売状況の上昇・下降を判定しようとするもので、3つのグラフの組み合わせで構成されたチャートのことをいいます。

Zチャートの概要

Zチャートは、右図のように

(1) 毎月の売上
(2) 売上の累計
(3) 移動年計グラフ

の3本のグラフで構成されます。

この図は2月から翌年1月までの、ある商品Aの売上をZチャートにしたものです。

図1 Zチャート 商品Aの売り上げ

(3)の「移動年計グラフ」の各月の値は、その月を含む過去1年間の合計金額となります。
つまり左端の2月の値は、その前の年の3月から2月までの1年間の合計売上、右端の値はこのチャートに表示された2月から1月までの1年間の合計売上となります。

したがってこの3つのグラフは必ず2箇所でつながり、「Z」の形になるので、Zチャートと呼ばれます 。

Zチャートはこれら3つのグラフを使って、月々の売上と共に、季節変動を加味した上での1年間の動向、および前年からの動きも考慮した動向を示してくれる貴重な資料となります。

季節変動に惑わされない2つの方法

図1のチャートで、 「 毎月の売上グラフ」は文字通り各月の売上額を示しております。
しかし、これを見るだけでは月ごとの変動がある上に、ほとんど横ばいのようにも見え、
この商品の売上は実際に伸びているのか、落ちているのかを判定することができません。

そこで月ごとの変動を加味した上での売上の動向を調べる2つの方法が考えられました。
その1つが「累計グラフ」、もう1つが「移動年計グラフ」です。

累計グラフ

図2 に累計グラフの例を示します。

このグラフの、ある月と翌月の間の線の傾きは翌月の売上高に比例しています。したがって売上が上昇傾向にあるとこのグラフの傾斜は急となり、下降傾向にあると傾斜は緩やかになってきます。

このことから、このグラフはその傾きの変化で月々の変動を示しながら、グラフ全体の傾きの流れで上昇・下降の傾向を示してくれることがわかります。

図2 累計グラフ(縦軸:売上高 横軸:月)

次の2つの図は、冬によく消費されるものと、夏によく消費されるものの累計グラフを並べたものです。

図 3
図 4

どちらが冬のものか、もうおわかりですね。
2月から3月に向けて大きな伸びを示し、夏場は傾斜が緩やかになっている左図です。

このように累計グラフは、その傾きの変化を読むことが重要なのです。

移動年計グラフ

右図は移動年計グラフの例です。

先の説明のとおりこのグラフの各点には、それぞれ過去の1月から12月のすべての月の売上を含んでいることになります。

したがってこのグラフは、季節変動を加味した上での上昇・下降の傾向を教えてくれるグラフとなり、この例にあげた商品の売上は、上昇傾向にあることがわかるのです。

図5 移動年計グラフ

累計グラフと移動年計グラフの違い

この、似たような働きをする2つのグラフには大きな違いがあります。

それは、累計グラフが表示されている期間内だけの動向を表わすのに対し、移動年計グラフは、表示されていない過去1年の情報も含んでいるということです。

それでは右図でその見方を確認してみましょう。

この例では、②のグラフの8月から先の傾きの変化が、この期間内の売上の上昇を示しています。

また③のグラフは、2月(この期間の最初)に近いほど前年の実績が色濃く反映されているので、この1年は前年に比べても売上が伸びており、かつ後半はさらに勢いが増していることを物語っています。

図6 Zチャート 商品Bの売り上げ

Zチャートは推移をわかりやすくする「増幅器」

まとめとして、図1と図6を一緒に表示したものを図7に示しました。

月々の売上だけでは気づきにくい変化を、Zチャートはその累計グラフと移動年計グラフで増幅して見せてくれます。

この例を見ても、月々の売上はあまり違いがないように思えますが、実際にはかなり動向が異なっていることがわかります。

図7 商品A,Bの売り上げ比較

以上のように、Zチャートは2年間の販売状況の推移、とくに成長と衰退の度合いをわかりやすく表示します。

顧客や商品に対する戦略を検討する際に、これまでの動向を調べる手段として、たいへん優れた手法といえるでしょう。

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