
「このリンゴ、少しキズがあることに注目してください」
このアイデア、百万ドル !
もう数十年も前になりますが、「百万ドルのアイデア」という本を買ったことがあります。とても面白かったので、今も覚えているアイデアのいくつかを披露したいと思いますが、その一つが冒頭のフレーズです。
米国の大きなリンゴ農園での話。
農園のオーナーは、おいしいリンゴを出荷したいと思い、収穫をぎりぎりまで待っていたところ、運悪く収穫直前にひょう(雹)に見舞われてしまいました。
そしてせっかく育てたリンゴには、ひょうに打たれたキズが…
途方に暮れるオーナーに、この本の筆者が提案したのが冒頭のコピー。
これに続くコピーの表現は詳しくは覚えていませんが、「売る直前まで木になっていて、山の冷たい空気でおいしさを増したリンゴ」についての説明だったと思います。
このコピーに百万ドル支払ったということは、その後収穫したリンゴの量が半端ではなかったことに加え、何よりリンゴがおいしかったからのことだろうと思います。
そして、その評判が広がって完売した、というのが結びでしたが、「ピンチをチャンスに変える」一つの好例として紹介しました。いずれ日本での事例も紹介したいと思います。
さて、この本にはあと2つ、紹介したい記事がありましたので、簡単に書いてみます。
当時は、「飛行機は出発が遅れるのが当たり前」という時代。この時に大胆にも、「30分遅れたら飛行機代をお返しします」と発表したエアライン。

これにはお客以上に「社員」が反応しました。「遅れたら給料が減る…?」 そして飛行機の出発の遅れは最小限に抑えられ、利用客も大きく増えたとのこと。やっぱり百万ドルの価値はありそうですね。
もう一つは大手企業が採用した「1ドル節約したら半ドルあげます」キャンペーン。すぐにもできそうで、社員が得するこのキャンペーンには、全社員がチャレンジ。周りを巻き込んで根本を改善するこのアイデアも百万ドル。
さて、鮮やかな結果を招いたこれらの事例。トップダウンでないとなかなか意思決定できませんよね? 「本当に成功するのか?」上司の一言でとん挫するのがほとんどでしょう。
でも小売店でなら、店長の意思でいろいろ実験できるのでは? 一つやってみませんか?