PEST分析 とは
PEST分析は戦略検討項目リストにある「ビジネス全体に大きな影響を及ぼす外的要因」の、各要因の頭文字を取って付けた名前で、市場の特性と変化をマクロ的な見地からとらえようとする手法です。
これは主に経営層や企画部門で利用されることが多い手法ですが、後述するように営業現場でも、これら要因の「変化」をウオッチしていくことが重要です。
ビジネス、特に営業活動に影響を及ぼす要因を細かく見ていくと、次のようなものが考えられます。
P:政治的要因
- 政府の規制が緩和される、あるいは強化される … 自社製品・サービスへの影響
- 税制の変更 … 特定製品・サービスへの影響
- 法律改正による影響 … 自社製品・サービス、販売方法への影響 など
E:経済的要因
- 経済状況全体の推移 … 特に景気減速は企業活動全体に影響し、抜本的な対応が必要
- 為替の変動 … 製品の仕入れ価格や生産品の原価に影響 など
S:社会的要因
- 市場の流行、顧客のし好の変化 … 自社製品・サービスへの影響
- 健康や使用時の安全性に対する意識の高まり … 自社取扱製品の安全性への要求 など
T:技術的要因
- 新技術や新製品の発表 … 自社取扱製品が陳腐化する危険
- 新技術のイノベーションによる低コスト化 … 競合が激しくなり商品切り替えが進む など
このような要因による市場の変化は、1企業の力でそれを抑えることはできず、その流れの中で、「自社に有利な流れはそれに乗り」、「自社にとって不利な流れに対してはその影響を避ける方策」が必要になります。 以上のことから考えると、PEST分析は新規市場への参入を検討するときや、製品・サービスの多角化を検討する際に役立つ手法と言えます。
営業現場とPEST
営業現場の戦略検討では、この手法を利用するよりは、もっと身近な顧客や商品、競合相手を対象にした分析と検討が具体的でわかりやすいでしょう。
ただし、営業現場だからこそ注意すべき点が一つあります。
それは、PESTの要因の変化が自社のビジネスに影響を及ぼすことによって、売上の下降現象が始まったときには、いち早くそれを発見できるようなしくみが必要だということです。
構造的変化のウオッチ
PESTに掲げられるような要因を「構造的要因」と呼び、この要因によって引き起こされる売上などの変化を構造的変化といいます。
今までの説明でお分りのことと思いますが、構造的変化による下降現象には、次の2つの厄介な問題が含まれているのです。
- 一度その変化が始まると、「何もしないとその変化(下降)が続く」
- この問題の解決は一担当者の力では困難で、組織的・抜本的な解決策が必要
以上のことから、営業現場では構造的変化の兆候を早く発見し、対応できるように、「販売データの変化をウオッチし、変化の理由を考え、構造的変化とみられる場合は速やかに上司に報告する」しくみを作っておくことが望ましいのです。
参考記事 → 構造的変化の兆候が見られる顧客の有無を点検